研究

2026.4.16

建築物やデザインの在り方を間の領域から発信していく

工学部 工学科 建築学系 建築コース
建築意匠Ⅱ研究室 香月 歩 准教授

教員プロフィール

かつき?あゆみ
1986年福岡県生まれ。2009年東京工業大学建築学科卒業。2009-2010年パリ?ラヴィレット建築大学(フランス)。2012年東京工業大学现在哪个app能买足彩人間環境システム専攻修士課程修了。2017年博士課程修了、博士(工学)。2018-2024年東京工業大学建築学系助教。2021年法政大学江戸?東京研究センター客員研究員。2022-2025年法政大学兼任講師。2024年より東京工芸大学工学部准教授。

建築デザインから社会や都市の豊かさを考える

 人々が建築や都市を認識するまなざしと、それをつくりだすフレーム(=情報)に着目し、建築物や建築意匠(デザイン)が、社会や都市といかに豊かな関係性を構築できるかを考える研究室です。現在掲げているテーマは3つあります。

 1つ目は、建築?都市の社会的イメージ。人々は、インターネットや雑誌などのメディアの情報から建築や都市に対するイメージを形づくっているという観点から、メディアにあらわれる建築や都市に関する情報、およびメディアそのものについても研究します。

 2つ目は、ツーリズム?スケープ。観光という現代活動が作り出す風景や現象から、観光の愉しみがもたらしうる建築や都市と人々との新たな関係性、未来の都市や地域の風景について考えます。

 3つ目は、住まい継ぐためのデザイン。建築や都市を次の世代に継承し、サステナブルな社会へと移行するための方策と、そのための建築デザインの在り方について考えます。

建築 ×メディア?観光?イノベーションという研究のまなざし

 これらのテーマに基づく私の最近の研究をいくつか挙げてみましょう。

 例えば、国内で発行される観光に関するパンフレット、チラシ、ポスターなどの印刷物(=観光エフェメラ資料)の、アーカイブ化を試行するプロジェクト。誰もが気軽に手に取れるこうした身近なメディアは、現代社会における都市や地域の意味や価値を示す重要な資料性を有していると考えられるものの、包括的なアーカイブはこれまでに存在しません。そこで、分野横断的な研究によって都市や地域を理解するための新たな学問領域の開拓を目指す目的で、アーカイブの方法や研究資料としての意義について検討する研究を行っています。

 フランスの各地に存在する小さな村々によって結成された「美しい村協会」の活動に注目した研究プロジェクトでは、村の歴史的景観の継承や観光客や新規居住者の誘致に対し、彼らの活動や社会的なイメージがいかに寄与しているかという観点から、小さな自治体の持続可能性を考察しました。

 さらに、仲間との共著で、商いと住まいが一体となった都市住宅の形式である町家をテーマに様々な観点で論じた「シン町家百科」という本を出版しました。私は、町並の観点から、地域における町家の意味について論じています。

 今、建築分野の仕事は、その領域がどんどん広がってきています。専門性だけでは、今社会で起きている状況や課題に対応できなくなってきているのです。そういう意味でも、建築とその周辺部について探求する人が今後ますます重要になると思います。そんな思いで、建築とメディア、建築と観光、建築とイノベーションといった、間の領域から新しい研究分野や知見を発信しています。

その人らしい研究の後押しをしたい

 学生たちには、それぞれの興味に従い、オリジナリティのある研究をしてもらいたいです。そのためにも、研究室としては、デザインや設計に加え、その周りのことについても興味を広げて知見を深められるよう、両翼のバランスを保っていきたいと考えています。

 指導において心がけているのは、学生の可能性を潰さないようにすることです。よく学生が「こうしたらいいですか」と聞いてくるのですが、建築デザインに「これでいい」はありません。どの案にも可能性があります。人と比べてしまって自分の案に自信がもてない学生も見かけますが、自分の案を手放さないでもう少し突き詰めていけば、面白い世界にたどり着くかもしれません。正解がないからこそ、しんどくもあり面白くもあるのが建築デザイン。そこを踏まえ、学生一人ひとりのその人らしさを引き出してあげられたらと思っています。

 建築を学ぶことに興味がある高校生には、旅行をおすすめします。町や建物の情報だけならインターネットでも得られますが、実際にそこに足を運んで、見て、体験することが重要で、肌で感じたことは、後々きっと生きてくると思います。
 また、建築について自分なりに勉強してみたいと思ったら、まずは雑誌を手に取ってみてください。大きな写真と図面を一覧できるうえ、情報も整理されているので、ポイントがわかりやすいと思います。建築家の名前を知るところから入るのもいいでしょう。こうして基礎を築いておけば、大学で本格的に学び始める際のアドバンテージになると思います。

※所属?職名等は取材時のものです。

化学?材料コース

学生一人ひとりの興味に応じた専門分野を学び社会で求められる建築のプロを目指す

少人数制の設計製図演習、充実した実験設備、そして教員と学生の距離の近さが最大の魅力。建築関連の基礎知識に加え、得意分野に合った専門知識を学ぶことで、建築の専門家を目指します。「建築」「構造」「環境」の3分野のデザインをバランスよく習得できる点も特徴です。